「足」-散歩

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散歩が好きだ。

もう何度となく通ったような近所の道を徘徊したり、あるいは、通ってはいたけれどもその先になにがあるかは見たことがない道を、延々とまっすぐに歩いていくのが好きだ。

いつもおなじみの自分が知っている道は、隣の駅の近くにあるあまりなじみのない道へと通じている。さらにその先には、どこに続いているのだかなんとなくしかわからないような高架道路との立体交差。

スピードが速い車やバイクならなにも思わずに過ぎ去っていくだろう景色も、歩きながらなら、自分のペースで楽しむことができる。

家から徒歩数分のところにあるローソンも、 ここの通り沿いのローソンも、外観も内装もほとんど変わらない。近所の小さいローソンは駐車場が狭いけれど、このローソンは広くてトレーラー用の駐車スペースもある。その程度。でも背景が違う。その雰囲気の違いが、とても楽しい。たった1時間ほどしか歩かなくても、発見に出会える。

まだ幼稚園にも上がらないくらいの頃、祖父とよく散歩に行った。毎日、夕方の5時から6時ごろに町内を散歩するのが祖父の日課だった。

祖父は人間嫌いとまではいかないまでも、人見知りなのかひねくれ者なのか、嫁であるところの祖母とも息子であるところの父とも娘と孫であるところの叔母さん一家とも、ほとんど会話をしなかった。

それなのに、どういうわけか自分は可愛がられていて、毎日のように散歩に誘われた。

1時間も経たずに周れてしまう町内の住宅地は、違法駐車だらけの地帯でもあった。道路脇の車たちを見ながら、「あれはカローラ」とか、「あれはエスティマ」とか、「あれはよくわからんけどハンドルが左やから外車」とか言うことが楽しみだった。ただ、それが会話になることは少なかった。祖父はほとんど、ただ相槌を打つのみだった。自分も、車の名前を羅列する以外には、特になんの雑談もしなかった。

その癖は今でも続いていて、歩きながら、「あれはワゴンR」「あれはカムリ」「あれは……………ロータス エキシージ」と、いつも心の中でつぶやいている。それが、ただ、楽しい。そんなことを聞いてくれる相手は、心の中にいればいい。こんな雑談を書けることが幸せに思えればそれでいい。

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Pullerna
サブカル中二病系。マンガとかエッセイとか日記とか。思いつきで行動します。無謀にMOVE ON。

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