夢語り

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 昨年の夏にyosh.ash氏が書かれた『あなたの夢には、音が鳴っていますか?』を読んで以来(何か面白い夢を見たら反応しよう)と考えていたが、ようやく先日興味深い夢を見たので書き記そうと思う。
 ただし本当に面白いかどうかは分からない。現時点では他人の夢を見る手段がないので比較のしようがない。全て自分基準である。(※感想は個人のものです)と全編に渡って但書してあると考えて頂きたい。例えば私の場合、連続した夢を見ることは珍しくない。

・首から上がトカゲの男が収監されている。彼は私に重要な情報を教えるが、それが真実なのか、自分が早く釈放されるために嘘を吐いているのか判断しかねている

・自分のせいで隣の家の床が抜けた。兄が何かやらかして、父親が職場で金を借りようとしたら、土曜日の午前中に岩手まで出張に行かされた、と母から聞いた

・何か帳票類のデータを整えようと苦心している

 以上の三話は現在、何夜かに分けて見続けている夢だ。つまり自分基準では続き物は珍しくない。だがそうでないという人もいるだろう。逆に私が面白い、珍しいと感じたものが他の人には退屈であることも大いに有り得る。そこで少しでも有用になるよう趣向を凝らした。
 まず睡眠に支障のある方のために小難しい文体にした。就寝前にご一読いただければ眠くなること請け合いである。さらに眠れなかった場合に備え、本稿の最後にyosh氏の問いに対して目の覚めるような回答を用意した。以下が興味深いと思われる夢である。

 知人の夫妻が私の家を訪ねて来る。二人は最近野球に凝っていると言う。私たちは三人して台所に行った。まずは奥方が、これは大変に小柄な女性なのだが、まあ見てろと言ってノックを始めた。三、四球ほど打った所で夫が「俺にやらせろ」と奥方からバットを取り上げた。奥方の倍ほども背がある。昔ながらのランニングシャツを来た巨漢だ。いかにも力が強そうな男だ。彼は鋭い音を立ててノックを始めた。大迫力の鋭いスウィングだ。球は一体どこに飛んで行くのだろうと考えていると電話が鳴った。
 手持ち無沙汰だった奥方が私の代わりに電話に出た。少し相手の話を聞いた後で黒電話の受話器を私の顔に向けながら「宝石を返してと言ってる」と要件を告げた。私が電話を変わると相手の女は言った。
「あなたが盗んだ宝石を返して。でなければ通報するから」
 何の話かはすぐに分かった。電話口の女は先日、タバコのカートンほどのサイズの宝石箱を開け、中のネックレスを私に見せたのだ。だが盗んでなどいない。女は私に宝石箱を『預かって欲しい』と言ったのだ。
 いつの間にか私が盗んだことになっている。これは厄介なことになったと思った。

 本題である音は『ノック』と『電話』で発生している。これらの音は確かに現実の音と比べてかなり曖昧だった。私は男がノックするのを見ながら『ボールはどこに行くのか?』と考えている。つまり壁板が割れるなどのノイズは聞こえていないのだ。電話にしてもベルはほとんど聞こえておらず、友人に受話器を向けられて気がついたように思える。確かにアフレコのような曖昧さだ。

 これらの記憶と『夢は記憶を整理する役割を果たす』という説を元に考えると、夢の中では大脳の処理が複雑なものほど優先されるのではないかと推測できる。私が通常見る夢で五感の比重は以下のようになる。

1.視覚:色は全体に淡い。赤や緑などビビットな色彩も記憶している
2.触覚:気味の悪い物体を握る、指輪をはめるなど強い印象がある
3.聴覚:主に会話
4.味覚/嗅覚:ほぼ無し

 例に上げた夢はこの順位に依ると『標準的』といえる。にも関わらず興味深いと感じた理由について述べる。

 この夢は連続した最低二話から成る物語である。
 私は電話の相手の発言が前回と今回で異なっているいることに気付く。まず電話口の相手の話から前回の夢に出た一人の人物を想起し、それらが同一人物であることを認識し、今回の要求が矛盾したものであると判断している。

『いまこうして起きている事象は全て夢なのではないか?』という問いかけをテーマにした物語は少なくない。そうした『夢現の曖昧さ』は物語を創作する上では便利である。だが現実的には成立しない。現実かどうかを『疑う』という行為それ自体が夢でないことを証明してしまうからだ。

 過去に一度だけ、これから起るべき出来事を前もって体験したことがある。敢えて夢とは表現しない。就寝中に何かの間違いで地震が来ることを先に知ってしまったのである。私は家族と近しい友人数人に本日地震が来る事を告げた。ノアという人物の苦労がこれ程偲ばれたことはなかった。当然だが翌日の夕方に実際に地震は起こった。

 この時の『確信』は覚醒してから得たものである。体感の度合いを通常の夢と比較し、このありありとした恐怖は夢ではない。従って夢ではない、と判断したわけだ。こうした判断は真偽が曖昧な夢空間では通常行われ難い。

 上記の夢で私は、一方で家の中でノックをするというあり得ない設定を受け入れながら、他方で二つの夢を比較し、それらが同一の時空間で起きた物語であると認識し、発言に一貫性がない事を認識しているのだ。

 起きてからの検証に足る判断を夢の中で下したという点が非常に珍しい。我ながらあっぱれである。

 さて、いよいよyosh氏の問いに『目の覚めるような』解を与えようと思う。ここまで寝付けずに読んでしまった気の毒な皆様には既にキーワードが『覚醒』である旨ご理解頂けただろうと思う。

夢の中で現実的な音を聞くことは不可能である。

 ボールが壁を破る音も、黒電話のベル音も、ステージでのバンドの演奏も、夢の中では決して鳴り響くことはない。

 それほどリアルな音が聞こえたら目が覚めてしまうからである。

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玖万辺 サキ
最近はあまり遊べないっすね。
玖万辺 サキ

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